継げる.ocm 継承メディア BUSINESS BATON

“式年遷宮御用生糸”を20年後も奉納できるか?西予市野村町の養蚕業

  • [レポート]

愛媛県の松山市から車で1時間、電車でも1時間・・・。
アクセスが良いとは言えない一方で、
豊富な自然資源をもつ
『西予市』に行ってきました。

東西に長い西予市は、
標高1400mの高原が続く四国カルストや
リアス式海岸など様々な自然美を楽しめる地域。

西予市 自然
写真:http://fieldnoteseiyo.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-be28.html

平成25年9月には、地層構造や地形など
大地に関わる自然遺産を主な見どころとする
自然公園(ジオパーク)に認定されました!!

ジオパーク

そんな独特の地形を活かして
明治時代から始まったのが『養蚕業』です。
西予市野村町は養蚕の名産地なのです。

みなさん養蚕業って分かりますよね?
そう、繭!カイコ!そして憧れのシルクです!!

繭

 紡ぎ

野村町産の生糸は、「カメリア(白椿)」として、
その品質も世界的に高い評価を得ています。

中国の生糸は乾燥させたり、
糸を機械で強く引っ張りながら紡ぐので、
均一な太さの生糸に仕上がり、
節などもなく長い生糸ができるそうなのです。

一方の野村の生糸は
「生引き」という水分を多く含んだままにする
特殊な方法で紡がれ、
糸を引く力もそれほど強くありません。
生引きにすることで、量産はできませんが、
ふんわりとした光沢のある生糸になるそうです。

糸

ここでプチ情報ですが、
昭和28年にイギリス女王のエリザベス2世の戴冠式で
女王のドレスを作るのに選ばれたのは、
ここ野村のシルクとのこと!!

また、能装束の復元にも用いられており、
なんと伊勢神宮の式年遷宮の御用生糸
にもなっているのです!!
(式年遷宮についてはかつて記事を書いています)

 

しかし・・・
「今回の式年遷宮には無事生糸を
用意することができたが、

次回はちゃんと用意できるか分からない・・・」
そんなことを『野村シルク博物館』
館長さんはお話されていました。

西予市の野村町という地域には、
大正初期には1138戸の養蚕農家がありました。
しかし、全国的な生産の増加や生糸価格の暴落や、
中国やブラジルからの安い絹製品に押され、
養蚕を行う人は激減。。。
現在は7戸しか残っていないという状況です。

現在日本製の生糸は、生糸の全国シェアの
約0.6%にしか満たないそうです。
あとは、全部中国からの輸入生糸。
その0.6%のうちの、3分の1は
西予市野村産というから驚きです。

ここの生糸は大変貴重なものなので、
ぜひ養蚕業を後世に残していきたい!

 

『野村シルク博物館』では
町の近代化を支えてきた蚕糸業にかかわる
貴重な資料の数々が展示されています。

養蚕農家

こちらは、昔の蚕小屋の模型です。
昔は人間より蚕の方がいい場所を与えられていて、
「お蚕さん」と呼ばれていたそう。
大切にされていたことがすごく分かります。

絹織物の衣装も展示されていました。
物自体も素晴らしいものばかりなのですが、
お客さんがほとんどいません・・・。
もったいないなぁ。

写真 (34)

この博物館に隣接して絹織物館があります。
ここでは実際に生糸の製造がなされ、
職人さんによる織物もなされています。

全国で唯一「繭から糸づくり~染色~織物」までを
体験出来る「染織講座」を開催し、
全国から公募した研修生を
毎年10人前後受け入れているそうです。

 

紡ぎて

生糸の製造に携わっている女性は地元の方で、
何か手仕事をしたい、という思いから働き出したのだとか。

「繭から紡ぎ出される糸は
1本だとすごく細くて弱々しいのですが、

5本、10本と繰り合わさるに従って、
どんどんと強く丈夫になっていくんです。
それが手品のようでおもしろくて、
気がついたらもう何年も働いていました(笑)」

一見地味な作業に思えるこの仕事。
にもかかわらず楽しそうに仕事をしている姿が、
すごく印象的でした。

 

機織りをしている職人さんも、
カッタンカッタンと同じ作業の繰り返し。

写真 (56)

使用する糸の本数はなんと1600本!!
この糸を織り機にセットする際、
1本につき2回糸通しをしなければなりません。
1600本なら3200回!!
気が遠くなりそうです。。。

写真 (48)

「この糸通しの作業を超えれば、
あとはもう楽なものよ~」
そう仰っていましたが、
私にはできそうにないなぁと
正直思ってしまいました。

 

シルク製品はたしかに高価ですが、
“蚕を育て、丁寧に糸を紡ぎ、織物まで仕上げる”
その作業量を考えれば、
そうなるのも当然だと感じました。
後継者問題でポイントとなるのは、
職人さんや養蚕農家の方々が
生業としてやっていけるだけの収入を得られるかどうか。
次の式年遷宮でも
西予市の生糸が用いられますように!

養蚕業が存続できる道を考えていきたいです。

BB編集部だより

  • FireShot Capture 11 - 『事業承継・廃業相談室』社長交代から後継者さがし、相続、事業譲渡まで – 社長のおくりびと奥村聡が事業_ - http___syoukei-lab.com_

    事業承継・廃業相談室を開設!

    新サイトの『事業承継・廃業相談室』をオープンしました!
    子供から第三者への承継、社長の相続、廃業と・・・会社経営の出口の場面のリアルなところをお伝えできればと思っています。
    (奥村)

     

  • 12625871_675680302535743_681456829_n

    2月20日の赤穂イベントが朝日新聞に

    2月20日に開催される、僕らの「出張例会と赤穂ツアー」の紹介が朝日新聞で掲載されました。他の地域と濃く交われる機会です。参加いただいた方に何か新しいことが生まれる機会になりますように。

  • P1250557

    空き家、空き店舗について講演

    奥村は、不動産業者さんの集まりで講演をさせていただきました。「街の個性を守る」ことをお願いしてきました。どこの街も同じ風景になりつつあるなか、できるだけ今あるものを活かしていくことが大切ではないでしょうか。

  • リノベラー!書影

    小説『リノベラー』が発売になりました!

    ビジネスバトンを運営するリノベーション起業研究会の奥村聡の新刊。今回は、なんと小説です!リノベーション起業のコンセプトが生まれるまでのストーリ。自分の仕事とは、これからの社会とはを考えるかたに、ぜひ!!

  • P1010520

    継げる資源リスト

    『継げる資源リスト』を作りました。事業や店舗、技術や古家まで・・・。自分なりの仕事を作っていくための“資源”が掲載され、バトンがつながれるようになることを目指しています。掲載は無料です。継げる資源の情報をおよせください!

  • 図1

    岡山県美作で仕事づくりとに移住がテーマにイベント開催

    「自分で仕事を作れるようになる」「新しい自分の居場所をつくる」・・・こんなゴールを目指して8月29日と30日にイベントを開催します。詳しくはこちらをご覧ください!

  • IMG_6480

    ソーシェア2周年記念パーティー

    2月14日、モトマチ6丁目商店街にできたTuKuRu(ツクル)でNPO法人ソーシェアさんの2周年記念パーティーが開催されました。奥村はトークゲストとして登壇です。

  • P1010649

    神戸の岡本に小さなシェアハウスを作ることになりました! こちらのフェイスブックページに、完成までの経過と町の魅力をお伝えしていきます。岡本の上質で気持ちの良い暮らしを味わっていただきたいです。

     

  • 1408849627324

    神戸リノベーション起業研究会スタート!

    明けましておめでとうございます! 本年は『リノベーション起業』の具体的な促進に努めてまいります。事業の引継ぎや街づくりに興味のある方、1月15日の神戸でのキックオフミーティングに是非!!

  • 1418370318981

    『「他力資本主義」宣言』が出版されます!

    リベルタ学舎湯川カナの『「他力資本主義」宣言(徳間書店)』が完成!もう自己責任なんて言ってられない時代が来るから力を借り合って生きましょうという本です!奥村が企画と編集協力。書店には12月15日ごろから並びます。



徳間文庫発行『リノベラー!:司法書士・菅野文秋の会社救済コンサルティング』



ミシマ社企画編集・ソシム社発行『今ある会社をリノベーションして起業する~小商い“実践”のすすめ』


マグネットミーン
1913920_1098542950156445_1829189938657334916_n
IMG_0519_20150305235237752
PC234690