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『ナリワイ』の伊藤さんに聞く、ナリワイ的な生活の始め方~実践編~

  • [レポート]

小さなナリワイを複数もつことで生計を立てている
『ナリワイ』の伊藤洋志さん。

写真 (1)
▲伊藤洋志さん。インタビュー時の服も自ら作ったものだそうです。

 

前回はナリワイ的な生活を送るようになった経緯などを
お話いただきました。(→前回のお話はこちら

 

さて、今回はナリワイ的な生活の実践編です!
どうしたらそうした生活をおくれるのか、
その極意を伊藤さんに聞いていきましょう。

 

-正直みんなが気になるところって、
ナリワイ的な生活をして食べていけるのか
というところだと思うんです。
そこのところをぶっちゃけトークで
聞いてもいいですか?笑

 

「一番多い質問ですね。
実は今のところが最大のポイントなんですが、
収入についてお話すると、
どのナリワイも大体年間30万円くらいの収入を目安にしてます。

あと、複数の仕事を無理なく運営するのがポイントなので
1つ1つのナリワイの時期をずらしています。
たとえば6月は梅の収穫、
7,9月は2回のモンゴル武者修行ワークショップ、11月はみかん。
木造校舎ウエディングや田舎で土窯パン屋を開く講座などは
通年、依頼があればやるナリワイ。
全国床張り協会の床張り講座も依頼があれば、ですね。」

梅2
▲季節限定で梅農家にもなる伊藤さん。 場所は和歌山県。

 

-そうなんですね!

「ナリワイの最大の特長は
仕事にもなるし自分の生活にも直接使えること。
例えば床張り講座のおかげで
床を直すのは材料費だけでできるようになった。
これがあるから、田舎にもう一つ拠点をつくるときも
水害に遭って壁も床も壊れていた空き家を再生できた。
これを業者さんに外注したら多少の収入なんてすぐ消えてしまいます」

 

―床張りのワークショップはかなり人気みたいですね。
「床張りはいつも参加者が定員オーバーになりますね。
床張りは、具体的だし、
目に見えて生活によい効果があるからおすすめです。
だいたい1日8時間ぐらいは家にいるでしょうから、
住処の雰囲気がよくなったら
生活の3分の1ぐらいは質があがりますよね。
具体的に考えていくのがいいです。」

写真 (2)

 

―定員オーバーになるほど人気だとは!
でも、できるだけコストをかけないように
自分でやれることは自分でやろうという意識はすごく大事ですね。

 

「これは、私は大学院時代の研究で気がついたことなんです。
当時、全国の職人さんの見習いをしながら、
弟子の技能の身につけ方と独立生計の建て方を調査していました。

多くの伝統工芸は、
後継者がいなくて終わってしまうことが多いんですが
素材を自給している工房だけは違った。
工房すら自分たちで建ててしまうところだったんですが
そこだけは、若い人が育っていたんです。」

 

-素材を自給できれば弟子も思う存分修行で試作をつくれますもんね。
伝統工芸の存続にもコストをいかに削減するかが重要になっているんですね。

 

yukahari

 

-では次に、人集めの方法について聞いてもいいですか?
ナリワイとしてイベントやお店をやろうとしても、
人が集まるまで結構時間がかかると思うんです。
伊藤さんはそうした点で大変だったことはありますか?

 

「今でこそクラウドファンディングやSNSが発達していますが、
僕が始めた頃はそんなものなかったから、
今よりは手間かかりました。
知り合いや友人に近況報告がてらメールを送ったりしていました。

でも、そこでもコピーペースト100%では送っていなかった。
集客という言葉で考えると、身の回りの人を消費者にしてしまうので
ダメだなと思います。
これはSNSが発達した今の時代でも同じことだと思います。
集客と考えるか、自分が考えた心底おすすめできるものを周囲にお知らせする、
と考えるかというのは、
ビジネスとナリワイの重要な違いかもしれません。」

モンゴル
▲モンゴルで颯爽と馬に乗る伊藤さん

 

「ナリワイをつくるぞ、と思ってやってみて分かったのは
収入は三番目ぐらいに大事で
一番は、これから一緒に協力して生きていける人間関係をつくれるかどうか、
というところですね。
人間、人生を生きていくのは1人ではどうがんばっても限界があります。
いかに周りの人と必要に応じて協力できるか、
しかも、ここは大事ですが
しがらみにならずにやっていくかが重要だと思います。

ウエディングの時も、内装ができる人や音楽を担当する人、
写真や映像を作る人など、
いろんな人がいたから実現できた。

その意味では、【仕事をつくる】ことは
【信頼のある人間関係をつくる】ための媒体のような気がします。
コミュ力が大事なんじゃなくて、
無理なく協力できる題材や環境設定を用意することが大事ですね」

 

写真 (1)

 

―なるほど。

「あと、環境を設定するというのに関連して、
例えばモンゴルツアーのサイトでは、
あえて写真などを多く載せないようにしています。
それは現地での参加者の感動を
薄れさせないようにするため。」

 

―それでは人は集まらないのではないですか?

「もちろん、写真を載せないと【集客】には逆効果でしょう。
でも過剰に感動的な写真を載せることで
体験の質を落とすことになる可能性がある。
ナリワイは、利益は三番目ですから、これは迷わず載せない。
本質的に何が大事かを追求することができるのは
専業ではないナリワイならで肌と思います。」

 

―ナリワイだからこそ参加者の最大限のメリットを重視できるのですね。

モンゴル2

 

-そのほか、今後ナリワイ的な生活をしようと考えている人に
なにかアドバイスはありますか?

「そうですねぇ、
まぁまずは儲けを考えないことですかね。
イベントも初めは赤字覚悟、
参加費は有料がいいけど、第1回目は赤字でもいいぐらい。
まずは1回でも経験を積み、
そこから次の展開を考えることが大事です。
いきなり、仕事をつくる、と考えるよりも

まずは【日常が面白くなるお金のかからない遊び】
を考えるところからはじめるといいと思います。
ノーリスクですが、工夫しないとできませんから
よいトレーニングになると思います。

僕は今度、W杯サッカーの決勝戦のチーム戦術を再現した
素人サッカーの試合をやってみたいと思っています。
皆下手だけど、戦術だけはマネしてやってみる、という」

 

―面白そう(笑)
パロディー試合、ぜひ私もドイツのミュラーで参加したいです!

 

 

そうそう、伊藤さん7月31日に
3冊目の著書『小商いのはじめかた』が出版されるんですよね!
これはどういった本になっているのですか?

 

「1冊目の『ナリワイをつくる』 では
考え方の部分などが多かったのですが、
今回の本は小商いの実践者の
知恵と工夫を集めたものになっています。
ナリワイとしては大きなものから小さなものまで業種も様々です。
本を読み込んで練習したらできる可能性が高まる、
という教科書みたいな位置づけの本ですね。
こういうインフラづくりはこれから力を入れていきたいです。」

 

写真
▲伊藤さんの最新刊『小商いのはじめかた』
―伊藤さんの最新本、本屋さんでもよく見かけますよ!
この本をきっかけに、多くの方が小商いを始めてくれたらいいですね。
今日は本当にありがとうございました。

 

 

伊藤さんのサイトでは様々なイベント情報が満載!
現在は北海道での床張りワークショップ参加者も募集しています。
山形仕事づくりラボ ではナリワイの先導師としても大活躍!

ナリワイ的な生活をする人が全国に増えていったら
どんなに面白い世の中になるんだろう。
たのしみですね!
さぁみなさん、ぜひこの機会に
ナリワイ的生活に足を踏み入れてみませんか~?

 

 

(おわり)

BB編集部だより

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