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老舗を継いだ女性アートディレクターのお話【ゑびす足袋】

  • [レポート]

『ゑびす足袋』は、万延2年、1861年の創業。
足袋の三大老舗にも名をあげられているそうです。

そんな足袋の老舗を継ぐことになった
白記澄子さんへのインタビューです。

 

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「たしかに昔は、相当会社の景気は良かったようです。
しかし、日本人の生活スタイルが変わり、
呉服屋さんもどんどんつぶれる時代になりましたから・・・」

 

足袋の業界でもかつてのような商売のやり方は
難しくなっている様子です。
そんな最中に、会社を継ぐことになった澄子さん。

はたして、昔から会社を継ぐつもりがあったのでしょうか?
質問してみました。

「継がなくてもいいと言われて育ってきたので、
妹は会社に入ってくれてましたが
私は外で働いていました」

ということです。

 

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実は澄子さん、会社役員の顔の他に
“アートディレクター”としての顔もお持ちです。
8年会社勤めをした後、
フリーのアートディレクターとなって
すでに10年以上のキャリアがあります。

ではなぜ、そちらのの仕事もありながら、
会社を継ぐことになったのでしょうか?

 

「父に税理士を紹介する機会があったのですが、
そのとき急に
『会社たたもうと思ってるんですわ(大阪弁)』
って言い出して(笑)。

それで、会社はどうするのって聞いたら、
『やりたいなら、おまえがやればいい』って。
私は、やりたいなんて一言も言ってないし、
継ぐなんて考えてもなかったのですが(笑)。

それが、きっかけです。
私は『ゑびす』の仕事は全然分からないので、
せめて1期ぐらいは父に会社に残ってもらって
いろいろ教わりたいと・・・」

 

おどろきのいきさつです。
それでよく「会社を継ごう!」と決心がつきましたね。

 

「祖父が楽しみながらも
精力的に働いていていた姿をよく覚えていたので、
その想いを大切にしたくて。

あとは、アートディレクターの仕事のほうで、
コンサルティング的なこともして
クライアントの会社を盛り上げていく
手助けをさせていただいていました。
自分の家業の会社だってできないことはないかなって。

自分がチャレンジしないで、
このまま『ゑびす』がなくなったときに、
後悔しないかって思ったら・・・
やっぱり後悔しそうでしたし。
どっちらにせよ、私が継がなければ会社がなくなるんだったら
『思い切ってやってみよう』というところですね」

 

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▲▼年季の入ったスクラップブックには、昔のロゴが!

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「こんなことをしてみたいって、
いろんなアイディアは沸いてくるのですが、
まだ1割も実行できていません」

会社に入ってまだわずだという現時点での進捗を、
澄子さんはこう語ります。

それでも、すでにオフィスを新しい場所に移して、
若い方でも足を運べるような空間を作っています。

「敷居が高かったり、
どこで足袋をかっていいのかわからなかったり、
自分に合う足袋がわからなくて
辛い想いをされている方でも訪れやすいように」
と。

このあたりは
アートディレクターとしてのセンスが光ります。

 

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ちなみに、僕もこちらで足袋を選んでもらいました。

足のサイズを測り、ためし履きをさせてもらってもらいました。
気づいたことは、『ゑびす』の足袋の種類が多いことです。

ウチは種類が豊富にあるので、
いろんな方の足にあった足袋を提供できます。
『こういうことで悩んでいたんです』と相談してきた方に、
『ピッタリの足袋があった!』と喜んでもらえたときは
本当にうれしいですね」

と言うことでした。

 

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最後に、継いでみた感想や将来への想いなどを
お話いただきました。

「私の個人的な感想では、
会社は必ず継いだほうがいい、とは言い切れませんね(笑)
人の会社を継ぐより、
自分で立ち上げたほうが楽な部分はありますから。
自分の自由にできるだけに・・・
それでも『何かがあるはず』と思って日々仕事をしています。

私が、『こんな事務所を作ります』って
フェイスブックに書き込んだとき、
すごい数の「いいね」とメッセージをもらったんですね。
少し怖かったんですが、
思えばそれだけニーズが隠れているんじゃないかなとも。

古い体質の業界で、自分たちから発信をしていませんでした。

たとえば、着物を買ったときにおまけで足袋がプレゼントされて・・・。
でも、質が良くなくて、サイズも合っていません。
そんな足袋を履いて『足袋って疲れる』と思われていたりするのが現状です。

だから、正しいメッセージを伝える必要があるし、
裏を返せば、
いろいろやり様はある、ということだと思うのです」

 

 

斜陽産業だからもうダメではなく、
斜陽産業だからこそのチャンスもあると
僕個人としても感じています。

老舗の後継者となった澄子さんに、
新しい価値を世に出すことを期待してしまうのでした。

 

 

(おわり)

 

【お店の情報】

ゑびす足袋
大阪市中央区玉造2-4-13
上町ロングピア2階

電話 06-6765-6333

※店を訪ねる場合は事前に連絡をおねがいします

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