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八幡馬のDNAを伝える!【八戸・株式会社八幡馬】

  • [レポート]

「今、八幡馬を作っているのは、
会社だとウチだけで、
個人だとお一人しかいません」

そう、青森県八戸市の『株式会社八幡馬』の
高橋利典社長は語ります。

 

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「戦後に事業を立ち上げた祖父は、
八幡馬を作りたかったのではなく、
八戸の観光みやげを作りたかったのです」

八幡馬の起源は、
農家さんが冬場の仕事として作って、
神社で売りはじめたことだそうです。

そこでは八幡馬が、
ノコギリとナタ一本で地道に作られていました。
それこそ一日一体作るのが精一杯。

みやげ品とするために、
株式会社八幡馬ではカタチや色を変えたり、
一部で機械化をしました。
(ただし、色を何度も塗り重ねたりと、
それでも製作は大変です)

「お前のところで作っているのは偽物だ、
と言われたこともありましたが、
そもそも目的が違ったのです」と、
高橋社長は語ります。

八幡馬のPRソングを作り、
婦人会に教えて回ったこともあったそうです。

その歌と踊りは
今でも八戸の盆踊り大会の定番になっているというから、
プロモーション活動の企画としては大成功だったのでしょう。

 

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現在の株式会社八幡馬の前身である
『八幡馬製造合資会社』は、
順調なスタートを切りました。

活躍を見て参入してくる業者も
バッと増えたと言います。

一時は八戸市内に
10から20の八幡馬を作る会社が
あったそうです。

 

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しかし、だんだんと民芸品が売れない時代がきました。

高橋社長は、そんな時期に入社します。
それまでは東京の代官山で
ファッション関係の仕事をなさっていたそうです。

「私は創業者の家系ですが、
入社当時は別の社長とその息子が社内にいました。
職人さんは年上ばかりで、
年長の従業員から『好き勝手はさせないぞ』と、
いきなり言われたことも・・・
最初は本当にやりにくかったです(笑)」

 

売り上げは下がっていきます。
「どうにかしなければ」と
焦れば焦るほど人はついてこなくなった、
と当時の苦い思い出を語ってくれました。

資金繰りは苦しくなり、
それでもリストラをせずに、
個人的なお金を会社に入れてどうにか維持をしてきました。
しかし、何をしていいか分からない時期が続いた後、
ついに工場を閉鎖することになりました・・・

「正直、やる気をなくしていました」

2年ほど在庫の商品を売るだけで
過ごしていたそうです。

 

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そんな高橋社長が精神的な落ち着きを取り戻し、
経営に取り組むエネルギーを取り戻すときがきました。

「自分は何をすべきかって考えていたのです。
ずっと『伝統を守ること』が大切だと思っていましたが、
それはウチの役割ではないとあるとき気が付きました。

ソフトとして八幡馬を活かすことこそが使命なのです。
そのためにはやり方を変えてもいいし、
捨てるところは捨てていい。
それこそ、場合によっては
木工品を止めたっていいのかもしれないと
考えるようになりました」

 

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自分たちのあるべき姿を見つけてから、
人の話を聞き、
受け入れられるようになったと言います。

「八幡馬を使って何か新しいものを作ろうとすると
『伝統品でふざけるな』と
おしかりを受けたことがありました。
みんな『こういうものだ』という
固定概念に縛られてしまうものなのですね。
同様に、私の頭も凝り固まっていたのでしょう」

 

長い迷いから目覚めた高橋社長にコラボの話が舞い込みます。

お相手は、八戸ポータルミュージアム『はっち』に
出店することになった『カネイリミュージアムショップ』。

2011年2月に
青森県の伝統工芸品やクリエイターの作品、
デザイン・アート関連の書籍や雑貨を扱う
セレクトショップです。

その際に、
デザイナーと新たな八幡馬を作るプロジェクト
スタートしました。

 

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取り組みは広がりを見せ、
今度は東京ソラマチでも高橋社長のところの
八幡馬が売られることになりました。

「私たちがこんな田舎で作っているものが、
東京のソラマチで売られるのですから驚きです」と。

 

復活した株式会社八幡馬と高橋社長。

もちろん八幡馬の製作も
元気に再開していらっしゃいます。

さらに最近では、
絵付けの技術を利用して、
鰹節削り器とのコラボまでも。

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「おかげさまでいろんな人が、
面白く取り上げてくれます。
昔は、そうされるのは好きではなかったのですが(笑)」

オープンマインドが新たな可能性を開いているようです。

 

 

【お知らせ】

八幡馬の職人さんが少なくなっています。
「技術を継ぎたい」と希望する方は、
ビジネスバトン編集部までご一報ください。

 

BB編集部だより

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