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伝統工芸界のカリスマ、中川政七商店13代目からの『後継者への小言』 (2/2)

  • [レポート]

※中川政七商店13代目へのインタビュー後編です。
前編は、こちら

―では、話題を変えまして、
後継者のこういう行動や姿勢はよくないな、
というところはありますか。

 

中)地域の青年会などに入り浸っている人です。

自分の経験からして、本業以外のことに
時間とエネルギーを使っている余裕なんてありません。

社内でやるべきことが山のようにあるはずです。

 

あくまで「本業に注力しろ」ということですね。

 

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ツボに入って二人で笑っています

 

中)もうひとつ、
僕がそういう集いをよくないと思う理由があります。

それは、そういった集まりで
後継者や経営者がストレスを発散していることです。

結局集まって何をしているかといえば、
酒を飲んで、愚痴を言い合っているわけです。

そうしてストレスを発散するのですね。

 

でも経営者というものは、
そう安易にストレスを発散すべきではありません。

そのストレスは会社や事業に向けるべきです。

状況を改善させるためのエネルギーになるものですから。

 

経営に対するストイックさが伝わってきます。

 

中川さんが先代から言われてきたことで、
大切にしている言葉ってありますか?

 

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開放感のある本社事務スペース

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社長室というものはなく、
スタッフさんに囲まれて社長も仕事をしています

 

中)ウチはそんなに父親と話を
たくさんしたというわけでもないので・・・

男の親子なんて普通そんなもんですよね。

そうですね・・・意識してきたのは、
「常に選択できる状況を作れ」
という教えですかね。

他を選べないという状況に陥らないように、
つねに複数の選択肢を確保しろと。

この言葉は残っていて、
たとえば大学の学部を選ぶ際も、
法学部を選びました。

経済学部だった父親が、
「法律から経済にはいける。でも逆は難しい」
と言っていたからです。

 

ひとつの取引先や顧客に
依存してしまってしまうケースなどは、
まさに戒めなければならないことなのでしょうね。

 

 

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「遊中川」ブランドの売り場です

 

 

他にはありましたか?

 

中)僕が社長になった記念に、
二人ですし屋に行って話をしたことがあります。

そのとき、家業の麻にこだわりすぎるな、と。

僕としては、
あまり麻にこだわっていないように思っていたのですが、
父親から見たらそれでも
こだわりすぎているように見えたようです。

 

長年取り扱ってきた素材に対して、
執着がないような、意外な先代の言葉ですね。

そのあたりへのこだわりは、
あまりなかったのですか?

 

中)基本的に父は、
好きにしろ、と言っていました。

いざとなったら家業なんてやめてもいい。

ただ、僕がどんなかたちであれ
商売をしてくれていたら嬉しい、と。

 

思えば、僕は13代目ですが、
ずっと麻だけをやっていたわけではないのです。

かつては酒の事業をやっていたときだってありました。

 

お酒まで!?

どうにか家業を残そうと試行錯誤した、
当時の様子が感じられます。

 

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中川政七商店とパートナーブランドによる、
展示会の様子です

 

 

中)だから、
「この技を社会から失わせてはならない」とか、
カッコいい大義名分を語りたがる人がいるじゃないですか。

でも、
ちゃんと稼いで喰えるようになってから言わなきゃ、
と思うのです。

力がないのにきれいごとばかり言っていても無駄だと。

経験上、そんなことを言う人に限って、
すぐあきらめたり、
行動していなかったりするものです。

 

ガツーン!! われらABBAとしても耳が痛いお言葉。

「次代への伝承」を掲げながら、
きれいごとや空論ばかりを
振り回すようになってはいけません。

 

 

中川さんのところの事業承継は
上手くいったと思うのですが、
その要因はどこにあったと思いますか?

 

中)ウチはあっけなかったからね。

社長になる前から、
好きにやらせてもらった、
ということに尽きるのではないでしょうか。

 

茶道具を扱う第一事業部と、
雑貨の第二事業部という部署が2つあって、
実際に場所も離れていて。

おかげで、僕は、
第二事業部を好きなようにやらせてもらいました。

数字さえ出していれば
なんの文句も言われなかったのです。

 

後継者とはいえ、
ただ引き継ぐというスタンスではなく、
自分のビジョンをもって進むことが大切ですよね。

 

中)そうですね。

僕たちも、
中川政七商店は『創業300年のベンチャー企業』だと。

チャレンジを忘れないようにしています。

後継者であれ、事業を創造していく姿勢が必要です。

 

― 後継者が事業を創造するために動き、
社長はそれを認めて自由にやらせてあげる。

この二つが大切なのですね。

中川さん、本当にありがとうございました。

 

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《取材雑感》

中川社長のお話、いかがでしたでしょうか。

反感を恐れず、本音をズバリと語っていただきました。

記者はインタビューの前から
お付き合いさせていただいていましたが、
今回あらためて中川社長の
経営に対する集中力を実感しました。

 

 

《中川政七商店からのお知らせ》

logo-pavilion

「日本×歴史×品質×ブランド」
兼ね備えた伝統工芸メーカーが集結!!

 

「にっぽんこうげいパビリオン」は、
中川政七商店がプロデュースする、
日本各地の伝統工芸メーカーが一堂に集う祭典です。

そして、作り手と使い手をつなぎ、
時代を継承する場所でもあります。

作り手の語るものがたりに、ぜひ耳を傾けて下さい。

 

2013.9.20から10.20  本町ガーデンシティ(大阪)

詳しくは、こちら

 

BB編集部だより

  • FireShot Capture 11 - 『事業承継・廃業相談室』社長交代から後継者さがし、相続、事業譲渡まで – 社長のおくりびと奥村聡が事業_ - http___syoukei-lab.com_

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    (奥村)

     

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